戸村飯店 青春100連発

瀬尾まいこさんの書き下ろしです。何でも器用にこなせてイケメンの兄ちゃんと、不器用だけど一生懸命な(あんまりイケメンじゃないのかな?)弟の、まさしく「青春100連発」な1年が描かれた作品です。瀬尾まいこさんらしい、ギャグありーの、ほろーりさせーの、でも最後はスッキリ!という世界を堪能しました。
地元の人に親しまれる戸村飯店の兄弟が主人公。兄の話・弟の話が交互で構成されています。作文を書くのが上手で、代作をして小遣い稼ぎをし、さらにコンビニバイトで貯めたお金をもとに、高校を卒業と同時に専門学校へ通うため(という名目で)上京する兄・ヘイスケ。ヘイスケのことがよく理解できない、一つ下の弟・コウスケ。それまで同じ部屋で過ごしていた兄弟が、離ればなれで過ごした1年間が描かれています。
器用で頭が良くて、そんでもってイケメンというお兄ちゃんは、瀬尾さんの作品によく登場する(ような気がする)のですが、今までメインで描かれることはありませんでした。そのお兄ちゃんの話がたくさん読めたのが良かったです。
東京で一人暮らしをしている間、お兄ちゃんは毎月末に実家の戸村飯店へ、「東京ばな奈」を送ります。その場面が妙に頭にこびりついてしまい、東京出張から帰る際に、東京ばな奈を買ってきてしまいました。なんだか、戸村ヘイスケにやられた気がしました。