りかさん

「りかさん」とは、黒髪の市松人形の名前です。しかし、ただの人形ではありません。りかさんは「恨まない」というとてもすばらしい美徳を備えています。
ようこさんは、おばあちゃんからりかさんをプレゼントされます。ようこさんは、りかさんと寝食をともにするようになって7日目から、りかさんと会話ができるようになりました。もちろん、元・持ち主のおばあちゃんも「りかさん」と会話をすることができます。
ようこさんは、りかさんと会話ができるようになってから、他の人形の声も聞けるようになりました。そうすると、人形たちの不満やら苦悩やらが飛び込んでいます。
ようこさんのおうちのひな人形はなにやらもめています。そこへ、旧家のお友達のお人形さんたちの問題も絡んできます。でも、りかさんとようこさんとおばあちゃんとで解決するという、ハッピーエンドのお話です。しかし、次第に明かされる人形達が抱えていた問題は、とても切ないものでした。
2年ぶりくらいに読み返してみました。児童文学なので、難しい言葉は使われていないけれども、心から慈しむこと、人間・人形だけでなく、植物など、あらゆることを愛すること、恨みを水に流すことの大切さが心に浸みてきます。