年を重ねるということ

大学生の頃、「能楽研究会」というちょっと高尚なサークルに所属していた。新入会員は年々少なくなり、ついにこの3月で最後の会員が卒業する。師匠と顧問の相談の結果、サークルは「休会」ということになった。
「一応の区切りをつけましょう。」という師匠の発案により、OB会が催された。「適当でいいから」という言葉を誘われて出ることにした。卒業して丸5年。舞台に立つのは実に5年半ぶり。
型付け*1を見つけられないまま、そしてお稽古にも1度もいけないまま、ぶっつけ本番となってしまった。イメトレはしていたのだが、そもそも記憶があやふや。舞台に立ってみると、やはり体がぜんぜん動かない。型を1つすっとばして舞ってしまったけど、それでもイメージどおりなんだから仕方が無い。
師匠に「下手になったねぇ。立ち上がるところは、『おっ』と思うくらい雰囲気があったのに。でも、その雰囲気というのはね、いくら言っても伝わらないもなんだよね。年齢のなせるものかな」とのお言葉をいただいた。年齢ばっかり上になって、でも何にも成長してない、いや、むしろ後退してるんじゃないか、と思う日々。些細なことだけれども、今日は1つでも良いところがあって、ほっとした。

*1:謡の横に振り付けが書き込まれているもの