ふしぎな図書館

ふしぎな図書館

ふしぎな図書館

長編『海辺のカフカ』でも作者は、図書館をダイレクトに物語の舞台にしているが、『図書館奇譚』を改稿した本書の軽妙な味わいもおすすめ。懐かしい“羊男”も登場し、佐々木マキのイラストとコラボレーションもぴったりで。ムラカミ・ワールドが満喫できる。

今月の『ダ・ヴィンチ』の「旬の本棚」、「書物をめぐる物語」に紹介されてたうちの一冊。村上春樹で読んだことのある作品は、『ノルウェイの森』『ダンス・ダンス・ダンス』『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』『ねじまき鳥クロニクル』だろうか。他にも読んでいると思うが、タイトルを挙げた作品でさえ内容がうろ覚えになっているのだから、これ以上挙げたところで意味は無いだろう。まぁ、この過ちを繰り返さないための読書日記なのだが。
「ムラカミ・ワールド」が意味している世界観がどのようなものか、私には分からない。でも、こんな風にあいまいな記憶でさえ、村上春樹の作品には「羊男」「図書館」「不思議な構造の建物」「美女」「食べ物の描写」が自分の中でキーワードとしてヒットする。これらの要素が全て盛り込まれている意味において、短い話ではあるけれども、ムラカミ・ワールドが満喫できるのかもしれない。
この本を読んでいたら、ドーナツが食べたくなって仕方なかった。それも、昔お母さんが揚げてくれたドーナツが。自分では作れないなぁ。