「大人」がいない

「大人」がいない… (ちくま新書)

「大人」がいない… (ちくま新書)

大人になりたくない!
高校の時、よくこんな言葉を口にしていた。「高校は義務教育ではない」「君たちには大人としての判断が求められるようになるんだ」「社会の常識のものさしを持て」そんなことを入学早々間もない頃に言われ、ビビってしまったからだ。「自ら考え自ら成す」という校訓は、「自由」であることを意味していると同時に、それに伴う「責任」をも意味している。
父親から「やりたいこと、やらなければいけないこと、物事にはこの2種類がある。やりたいことだけやっててはダメだ」「貧乏人も金持ちも1日は24時間。時間は誰にでも平等にやってくる。その時間をどう使うか、だよ」ということをよく言われた。やらなければいけないことをしなければならないのは、痛いほど分かっている。でも、モチベーションも体力もついてこない。したいことはしてるくせに。
誰からも「もういい大人なんだから」と言われる年齢。外見だけでなく、そろそろ中身も本気で大人にならないと。清水義範ならではのタッチだが、筆者から伝わるメッセージに、背筋がシャンとした。