逸翁美術館へ行ってきました

逸翁美術館」とは、阪急電車の創業者・小林一三の個人コレクションを基礎にした美術館です。いつか行ってみたいと思いつつ、はや6年。氏の旧邸「雅俗山荘」での展示が今回の展示で最後だと知り、慌てて手帳とにらめっこ。隊長にお付き合いいただき、ようやく昨日行ってきました。
展示品もさることながら、あの雰囲気はとてもよかったです。落ち着いた木造建築、ゆったりとしたスペース、吹き抜けで天井の高いところ、手入れの行き届いた庭園。あの雰囲気の中で美術品を鑑賞するというのは、なんとも贅沢な気分になりました。
逸翁美術館では、土日にお茶席が催されています。昨日もお茶席があったので、一服いただいてきました。お菓子は「紅梅」という竿菓子で、春らしくてほっこりとした気持ちになりました。一番末席に座ったのですが(全員で6人しかいませんでしたが)、幸いにも次客に出されていたお茶碗と同じ細川護煕作の茶碗でお茶をいただくことができました。茶碗に合わせてなのか、茶碗を合わせたのかはわかりませんが、床の間には、近衛文麿作の茶杓が出ていました。
受付で「作法なんて気にしなくていいですよ」と心強い一言をいただいていたのですが、主人の挨拶も堅苦しくなく、少し肩の力を抜いてお茶をいただくことができました。また、「拝見」のために回ってきたお茶碗をお返しする際、どこを向けて返したらいいのか分からなくなっていたのですが、「気に入ったところが正面ですので、どこでも結構ですよ」と教えていただきました。これが事実なのかフォローなのかはわかりませんが、すてきな「おもてなし」で、至福の一時を味わうことができました。
雅俗山荘は今後も「逸翁記念館」として保存されるようなのですが、雅俗山荘のお茶室でお茶をいただくのは、これが最後なのだそうです。美術品も逸翁の旧居で鑑賞できなくなるのは、なんだか寂しい気がしました。もっと早くに行って、足繁く通っておけばよかったなぁ。