7's blood

新潮文庫の『卵の緒』(瀬尾まいこ)に一緒に収録されていた作品。

家庭の事情から、二人きりで暮らすことになった異母兄弟。初めて会う二人はぎくしゃくしていたが、やがて心を触れ合わせていく。(裏表紙より)

映画へ出かける往復の電車の中で読了。七子と七生は腹違いの兄弟。お父さんは死んでいる。七生のお母さんが刑務所に入ってしまったため、七子の母親が七生を預かる、という事情から七子と七生が一緒に暮らすことになる。二人が親しくなっていく場面は、読んでて涙が出そうになってしまった。場所が場所なのでガマンした。(この作品でも、「鯖嫌い」という設定が組み込まれていた。笑)

私には父親がいない。それはたいして重要なことではないし、私は女ばかりで構成され、類まれな生活力を持つ自分の家族を気に入っている。けれど、「家族」というものに憧れがあった。手に入らないとわかっているからこそ、焦がれていた。(「あとがき」より)

この作品でもそうなのだが、瀬尾さんの作品では、片親であったり、両親そろっていても離婚しそうになったり、でも幸せな家庭、というのがよく出てくる。いつも、なぜ「片親」なのかが気になっていたのだが、こういう理由なのか。私は両親そろっている。でも、「温かい家庭」には焦がれてしまう。だから、瀬尾さんの作品を読むと、焦がれる気持ちをくすぐられるから涙が出てくるのかもしれないなぁ。